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「 転勤族の憂鬱 」
                           1988年卒 川原井 典子

 大学を卒業して、早いもので十数年が経ちました。卒業後まもなく結婚
したので、自分の家族の歩みも同じくらいになります。2人の子供が生ま
れ、数回転居しました。あわただしい毎日だったので、気が付くと今にな
っていたという感じです。現在は仙台に住んでいます。6年目になるので、
子供もあまり手もかからなくなり、ここに来てようやく自分の時間という
ものを持てるようになりました。働くことも考えたのですが、条件があわ
ないので断念しました。今は、日本語教師のボランティアといくつかの趣
味に自分の時間をあてています。〇〇の奥さんとか、〇〇ちゃんのお母さ
んではなく、川原井さんと、ようやく個人的なおつきあいができるように
なりました。しばらく専業主婦していた私にとっては新しい世界が開けた
ようで嬉しいです。といっても、妻であり、母であることには変わりはあ
りません。そして、転勤族ですから、いつまでこの安定した状態を保てる
か分からないので、先のことを考えると楽観してはいられません。辞令が
おりれば、それまでの生活を無理矢理リセットしなければならないのです
から。社宅がないというのも、いいやらわるいやらです。全く知らない土
地で誰も知り合いがいないというのは、とても心細いものです。子供もス
トレスを抱えるようです。成長すればするほど、新しい環境に馴染みにく
いように見えます。

 最近、家を買い生活を安定させた人が周りに増えてきました。自分の生
活スタイルに合わせた家を持つということも心惹かれますが、これから先
の生活設計をたてられるということが羨ましいと思うのです。子供の成長
に待ったはかけれませんから……。

 いつまでこの生活は続くのでしょう。転居による環境の変化、子供の成
長と私達家族は外からも内からも絶えず変容していくのでしょう。そうし
たなかでも揺るがない家族であって欲しいと願うばかりです。

次回は同じ1988年卒の左近さん(三枝さん)にお願いしました。