「日常的なリーダーシップ
                
                         2016年 小池 雅樹
 
 166番目のランナーになりました、2016年卒の小池雅樹です。大学時代、同じ団体で活動していた坂部くんからバトンを引き継ぎました。今年の3月に卒業し、社会人になってから怒涛の毎日を過ごしてきて、もう後輩たちが卒論や卒業の話をしているのを聞くと、あっというまだな、と感じています。

 何を書こうか悩んでいましたが、卒論でも少しかじっていたリーダーシップについて書こうと思います。

 私は在学中、「cafeあすなろ」という高崎の中心市街地の活性化を目的としたコミュニティカフェの立ち上げに参画し、2期目の学生代表として活動していました。今振り返れば、大変なことだらけな印象ですが、毎日がとても充実していたのを覚えています。

 そんな代表という自身にリーダーシップがなければやっていけない立場で活動しているなかで感じたことは、むしろ「ほかのメンバーにもっとリーダーシップを発揮してほしい」ということでした。一般的なリーダーシップには「何か特別な人が特別な状況下において発揮するもの」といったようなイメージがあるように思えます。「自分は大したことはないから」とか「そんな人間ではないから」そんな声が、メンバーから聞こえるような気がしていました。私がリーダーシップについて興味を持ちだしたのは、そんなメンバーをどうしたらいいのか、という悩みがきっかけだったように思います。

 そうしている中で、自分なりにリーダーシップを調べているうちに、1つの考え方にたどり着きました。それは「インスピレーショナル・リーダーシップ」という考え方です。詳しい内容は省略しますが、とある企業コンサルタント会社が生み出したもので、「やりがい」の正体は何なのか、という点に着目した考え方でした。いくつものコンサル経験の中から、「やりがい」の招待は「感動体験の量」であり、やりがいを増やすために、感動体験をいかに作り出していくか、という目的ををリーダーシップという手段を用いて作られたものでした。

 わかりやすく言うと、個々人が自分にできるリーダーシップを発揮し、周囲の人に「感動体験」を作り出すことができる組織をつくるのが「インスピレーショナル・リーダーシップ」です。 「あの時、この人の一言があったから頑張れた」「普段は静かだけど、この人の雰囲気はチームを和ませてくれてる」 そんないままでのリーダーシップでは語られなかった些細なことが、組織を活性化させているのです。組織に完全なリーダーが現れるのを待つのではなく、それぞれのメンバーが自分にできるリーダーシップを「発揮していく」ことが重要であり、そうしたことを承認してくれる組織を作ることが大切なことであるとしています。

 この考え方と出会ったとき、「これだ!」と直感しました。過去を振り返ってみて、ターニングポイントや印象深い思い出はいつもこんな場面だったように思います。実際の活動期間が2年半ほどの学生団体において、この考え方を組織に根付かせることは難しく、毎年同じような課題に直面しているのが学生団体の宿命なのですが。

 自分にできることを相手に対して還元していく。それは社会人になった今でも、忘れず人生の中で生かしていくことができる「気づき」であったと思います。