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“なごみ”のもと

89年卒 田中 克治

たまたま嫁さんと娘が帰省して1人でビールを飲んでいた11月のある夜電話が鳴った。でてみるとすぐそれとわかる声。彼と話すのは、彼の結婚式に出席して以来だと思うので2年ぶりくらいだろうか。たまたま一人だったこともあったのか、一瞬、大学時代の下宿にいるような感覚にとらわれ不思議というか懐かしい気持ちになった。彼とは、バスケしていて骨折した10月のランナー岡部である。2年ぶりでどうしたのかと思えば、「11月のランナーやってくれない?」である。たまには用事なくても電話してきてね、岡部くん。

 

 我々が入社した頃はいわゆるバブル経済の絶頂期で、会社に入るのもそれほど苦労しなくで済んだ時代だった。結構のんきに楽しく、まあ仕事もがんばるけどという非常に良い時代だった。ところが最近やけに忙しい。携帯を2台もって1台はモバイルパソコン用に使っている。卒論書いているときには夢だったブラインドタッチなどいまではお茶の子さいさいである。家にはISDN回線が引かれていて、社有車も専用に1台与えられており、直行直帰で会社に行かなくてもなくて完璧に仕事ができる環境にいる。よく考えれば気違い沙汰である。在宅勤務もそう遠くない気がする。

アデランスのコマーシャルで一躍有名になった井川遥は”癒される“という理由でおじさんから大人気である。確か”なごみ“という缶のお茶もあったような気がする。”癒し“が商売になるのだからいまの世の中みんな苦労が多いのだろう。

そんなわけで、わたしも大学時代の仲良し(?)から久しぶりにかかってきた電話には妙になごんだ。なんたって大学時代はなごみ放題である。部活して、マージャンして、飲んで、たまにゼミと試験のときだけは学校行って。最大のプレッシャーといえば単位が取れるか程度で、今考えればどうってことないことである。そんな学生時代に、一緒にばかなことして性格もばればれで、何も気取る必要がない学生時代の友人は最高になごめる相手である。

しかしいま、わたしにはそんな学生時代の友人を超えるなごみの素がいる。それはもうすぐ2歳になる娘の日那子である。仕事で色々なことがあっても家に帰って彼女の顔を見ればもう一発である。文句なく200%なごむのである。わたしにとっては井川遥なんてめじゃない究極の癒し系である。彼女がいるだけで笑わない日は1日たりともない。そして、さらなるなごみを与えるべく、嫁さんのお腹の中で虎視眈々と登場の機会をうかがっている奴がいる。2002年が楽しみである。

心安らぐ場所があるのはとても幸せなことである。いま私をなごませてくれている娘や嫁さんが、心から“なごめる”未来になるよう微力ながらもがんばろうと思っている。

次のランナーに玉井靖教さんを指名いたしました。1989年卒です。