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                                  2002卒  岡村 雄輝
 「凡事徹底」

 私は現在、高崎市にある“もつ野菜鍋川”という飲食店の店長をしております。3年程前までは、日本プロ野球界を目指して野球漬けの日々を送っておりましたが、縁あって現在は飲食店の店長をしております。料理経験はほぼ0(ゼロ)。当初はお米の炊き方すら分からなかった自分が、今ではお客様にお酒やお料理を提供する立場。人生とは本当に何が起こるか分からないものです。お店のオープンの為、3ヶ月間昼夜を問わず徹底的に料理の基礎を学びました。店から20分程の自宅に帰る時間もなかった為、店内の椅子を並べて2〜3時間の仮眠をとり、起きれば直ぐに料理の毎日。3ヶ月の間に体重は16kg減。まさに寝食を忘れて料理に没頭する日々が続きました。そしてその甲斐あって、2009年7月23日に無事お店をオープン。しかし、飲食店での勤務経験のない私にとって、飲食店の運営方法など分かるはずもありません。毎日が不安で失敗の連続でした。そんな時、1人の経営者の言葉が私に進むべき道を示してくれました。その言葉こそが「凡事徹底」。誰もが知っている平凡な事を、誰にも出来ない位徹底して行なう事。これは、イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏の言葉です。例えば、「トイレそうじは大切な事」。これは誰もが知っている平凡な事です。しかし、このトイレそうじを徹底的に実践し 続けている人はどれ程いるでしょうか。私はこの「凡事徹底」を自らのお店に置き換えて考えました。トイレ掃除やフロアーの掃除、厨房の掃除から食器や調理器具に至るまで、自分の身の周りにある物を徹底的に磨き上げました。私の姿を見ていたお店のスタッフも、店内の隅々までキレイに掃除してくれる様になりました。スタッフ全員が自発的にゴミを拾い、汚れている場所は拭き清められる様になりました。そんな習慣が定着した頃、以前私の抱えていた不安は跡形もなく消え去っていました。
 早いもので、お店をオープンしてから2年2ヶ月が過ぎました。その間、たくさんの出来事がありました。商売の厳しさを嫌と言う程思い知らされた事も多々あります。しかしそんな時はいつも原点である「凡事徹底」を再確認する様にしています。掃除をする事が直接的にお店の経営に結び付くとは思いません。しかしゆっくりではありますが確実に周りに影響を与え、結果として現れ始めているのは事実です。表面に現れない根っこの部分を太く強い物にする。太く強い根っこがあるからこそ、満開のキレイな花が咲くのだと信じています。これからも、周りで支えてくれている全ての人達への感謝の気持ちを忘れず、「凡事徹底」を実践し続けて行きたいと思います。